ワイナリー通信

家飲みで酒器による違いを楽しむ

Winery通信 2020 AUTUMN Vol.73

 

 今年もアッツイ夏でした。

 エアコンを友に家で過ごした方もいらっしゃるのではないでしょうか。目に見える暮らしの変化もあちこちに。私も会社にいる時間が減り「飲み会」もなく家で過ごすことが多くなりました。家ご飯にバラエティを求めた結果、冷蔵庫の1/3は調味料(自作も含め)で埋まっています。スパイスも増えましたね。ひとり探検隊_Winart (1).jpg

 酒器も増殖中。ワインにはそれぞれ適した形状のグラスがあり、どの器で飲むかで全く印象が違う。では麦酒やジンはどうなのか?と検証を重ねるうちに食器棚が飽和状態。

 そんな馬鹿話を岸平社長にしたところ、有益な話を教えてもらいました。2017年に雑誌『Winart』87号の企画「マスカット・ベーリーA ベストマッチグラスを探せ」に招かれた。世界的なグラスメーカー''リーデル''の日本〈本店〉に、ベーリーAの造り手7名が集まりグラステイスティングを行ったという。

 葡萄品種によるグラスが揃うこのメーカー。どうやって開発するのか聞いてみた。「今回のようにワイン生産者とワークショップを何度も開きます。人の感覚を突き詰めて最適なグラス形状を探ります。」との答えだった。

「やっぱり最後は人なんだな。」

ワイン造りに計測や分析は必要だけれど、判断の決め手は人の感覚と常から言っている典子社長。特に感じるものがあったようだ。

「その時はベリーA古木に"ニューワールド・ピノ・ノワール"のグラスが良いと思ったな。軽さのあるものに合ったのは"シャンパーニュ"だった。今タケダのゲストルームでの試飲はこのシャンパーニュ型を使ってるの。」

正確にはボウル(器部分)の形が同じで脚の短いものがビアグラスにあり、それを採用しているそうです。

 今回の記事を書くにあたり、一個貸して頂くことに。現在私が使っている薄いコップも含め全6種類のグラスで飲み比べてみました。

【ペティアン・ロゼ】は典子社長おススメの"シャンパーニュ"が非常に良いです。香りよし、酸が立ち苦み少なく、上品な味わい。赤用の丸いボウルは苦みが強く余韻もチョットつらい感じ。香りは弱くなるもののコップも美味しいと思います。

【サン・スフル白】は一般的な赤用グラスだと苦みを強く感じるようです。個人的にはコップでぐいぐいいきたいところ。

DSC_0035.JPG【サン・スフル赤】は一般的な赤用グラスが香りよく、クリーミーな飲み心地。ストレートにベリーAの元気を味わうならコップがお勧め。

【ベリーA古木】は"シャンパーニュ"が繊細さと合っていました。機会があれば"ニューワールド・ピノ・ノワール"を試したいですね。

 同じグラスを何脚もそろえなくとも、何種類かを各1脚持つのも楽しいと思います。お気に入りを発見したら増やせばいいのですよ。収納さえできれば。

上記グラスは左から ニューワールド・ピノ・ノワール、シャンパーニュ(ビアグラス)(以上リーデル社)、コップ(うすはり)

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著者プロフィール

菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。