ワイナリー通信

タケダワイナリーって実は挑戦者

Winery通信 SPRING Vol.67

 

昨年『日本ワイナリーアワード 5つ星』を受賞したタケダワイナリーですが、<シャトー・タケダ><キュべ・ヨシコ>を頑なに同じように造り続けているのではありません。品質向上や商品開発に取り組み進化(変化)を続けています。

『日本のグランヴァン』を継がれて13年経ちますが、改めて伺います。どうですか?

岸平:「またざっくりと(苦笑)。引継ぐときに『こんな時の止まったようなワインを造っていてはタケダの存続はない』と言って、父と叔父(営業)相手にやり合ってね。当時シャトー・タケダやキュベ・ヨシコが有名になり、先代としては、この良い酒を造り続ければ磐石という気持ちもあったと思う。でも、酒とて時代のいきもの。人々の欲するワインでなければ飲んでもらえない。仏ボルドーの老舗ワイナリーだって時代に合ったワインを造るから続いているのよ。人の暮らしが変われば飲まれるワインも変わる。時代に媚びるのではないけれど、"美味しいワイン"を追求し続けています。」

私の周りでも、バブル期にワインを飲んだか否かで好みが別れる気がします。熟成の進んだ重いワインが本格派だと思う世代に対し、今の若者はもっとナチュラルなワインを好む傾向にあります。タンク.JPG

岸平「それは世界的な今の流れです。機械化が進んで重労働が減り、脂肪分の多いこってりした食事は必要じゃない。軽いものを食べるのだからお酒もそうなる。でも、長年の個人的"美味しい"定義は簡単には変えらないから、世代差が出るのでしょう。私だって古い世代になってきているし。今の私は13年前の先代ですよ。順番ね。」

ええ?あなたが!?同い年としては衝撃的な言葉ですが...うーん。そうかもしれないな。ドーザー器具.JPG

岸平「現在、自社畑の1画を醸造担当の若手社員に任せピノ・ノワール種に取り組んでいる。栽培が難しい品種だから苦労しているようです。これが酒に出来るかは分からないけど、何でも試してみろと言っているの。違う品種に植え替えてもいいし。相談には乗るけど、手出し口出しはしないつもりで。」

畑1.JPG社長と若手、どちらにとっても辛抱ですね。

岸平「失敗なくて出来るようにはならない。私はここの娘だから、衝突しながらも萎縮することなく挑戦できた。社員はそうは行かないからね。今年は区画と担当者をもっと増やそうかなと思ってる。仕込みが一段落したらスタッフと話し合う予定です。」

入社7年から1年目までの若手。『プレッシャーになるのでは』と、今回この話を記事にする事を躊躇していた典子社長。その親心でビッシバッシ指導してるんだろうなあ。みんなの造るワインを楽しみに待ってますね。

 

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著者プロフィール

菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。