Winery通信 2017 spring Vol.59
3年ぶりに蔵王スター白の一升瓶が店頭に並びます。ラベル記載はありませんが2016年収穫醸造です。
昨年の畑はどうだったのか教えていただきましょう。お話はお馴染み社長岸平典子です。
岸平「昨年の山形は空梅雨で、8月は次々と台風が通過、9月中旬以降はずっと雨。ちょっと難しい天候でした。葡萄に付く病気の発生は少なく、その点は良かったです。」
葡萄が熟してから随分雨が降って私は心配しましたが。
岸平「葡萄の栄養生長期が天候に恵まれ、樹がしっかりすると強い果実になる。2016年は生長期も、べレゾン(色付き)が始まった時期も日照が十分だったので大丈夫でしたね。2015年はこの時期が雨に祟られて黒葡萄が辛かった。」
個別に伺います。白葡萄はどうでしたか?
岸平「デラやシャルドネは平均点以上の良い出来でした。9月の長雨前に収穫を迎えたシャルドネは特に良
かったですね。デラは8月の台風の影響が出ましたが、収穫期を長くする事で十分な原料を確保できました。以前はすべて完熟マックスでの収穫をお願いしていたのですが、秋雨の影響を受けやすく、実に傷みがでるリスクが伴います。天気予報を見て、必ずしも追熟(もうひと押し熟れるのを待つ)していなくても収穫可能にしました。もちろん完熟頂点の果実が主ですが。」
その変化はワインにも表れていますか?
岸平「ええ。今回はワイン用として栽培された有核(種あり)葡萄の割合が増えたこともあり、風味が増しシャープになっています。」
黒葡萄はどうでした?
岸平「黒葡萄も品質は良い。ただ、収量が少なかった。これはうちに限らず、どこでもそうでしたね。空梅雨の影響かなと思っています。量は少なくとも良品の葡萄が採れた場所と、量・質とも残念なことになった場所。畑の管理の在りようで結果に大きな差が出た年でした。」
岸平「んだね。いつ収穫すべきか悩んだ、今回も。赤ワインは特に皮や種の成熟度が大事だから。」
でも無事に収穫できたんですね。
岸平「まずまずだね。強烈なキャラクターはないけれどエレガント。緻密で繊細なワインが出来ると思います。ただねぇ。原料の絶対量が足りなくて赤の一升瓶は今回ありません。それと、2015年に続きサン・スフルのロゼが造れませんでした。」
ええええ⁉ホントですかっ!・・・ショックです。
岸平「私もショックです。今は在庫が1本もなく、私も飲むことが出来ません。飲みたいなぁ。」
なんという事でしょう。衝撃が大きくてその後は音が遠くなる感じでした。有核(種あり)に切り替える葡萄農家が増えた背景や、その際のご苦労などもお聞きしましたが、また今度とさせて頂きます。
菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。