タケダワイナリーの歴史

歴史を考えるときに、もうひとつ忘れてはいけないのは、次世代へつなげて行くということでしょう。1989年、タケダワイナリーでは、新しい時代がはじまろうとしていました。重信と良子の長男である伸一が三年のフランス修行を終えて帰国したのです。
伸一は、父と同じ東京農業大学醸造学科卒業後、単身フランスへ渡ります。ボルドーの一流ワイナリー「シャトー・ボンテカネ」で2年間、実際ワイナリーの中に入って、ボルドーの本格的なぶどうづくり、ワイン造りを習得したのです。オーナーのテッスロン氏はよく言います。「伸一ほど熱心に忠実に、我々の技術を習得した者は稀である」と。その後、瓶内二次発酵の発泡ワイン(いわゆるシャンパン)が有名な、ロワールの「シャトー・モンムソー」にて研修。ここでも、大きな成果をあげ帰国します。
伸一帰国後、タケダワイナリーの酒質はますます高品質となっていきます。もうおわかりでしょうが、「シャトー・タケダ」「キュベ・ヨシコ」の実現には、まさに伸一の大きな功績があったのです。しかし、歴史は簡単に行かないようです。1999年、伸一は突然の事故でこの世を去ります。