Winery通信 2021 WINTER Vol.78
「今年も残すところ」そろそろ聞こえますね。エブリデイ同じく24時間。でもこの言葉には焦りを感じます。
畑は只々進むけど、携わる人間は大変です。制御出来ない雨風を相手に気をもむ日々。2021年はどうだったのか社長岸平典子氏に聞いてみましょう。
岸平「今年の山形県内は沢山雪が降った割に、この辺りの積雪は少なめでした。雪解けの早さに焦りましたね。と言っても昨年までの"困惑焦り"ではなく、迎え撃つぞと急く気持ち。"事の起こりを見落とすまい"から"事が起きてもいいようにすっびゃ"と吹っ切れました。」
※事が起きてもいいようにすっびゃ・・・事が起きても大丈夫なようにやってしまおう
岸平「ここ十年程異常気象で先が読めないと思っていました。でもこんなに続いているのなら、これをスタンダードと考えて栽培の手法を見直すべきかなと。"例年"を更新するというか。それで、今年は雪が解けちゃったので3月になると直ぐ施肥。時期としてはかなり早い。」
では具体的に、葡萄はどうでしたか。
岸平「白葡萄は、3月末の遅霜がデラウェアの芽吹きに重なり、芽がダメージを受ける被害がでました。その結果、今年のデラは収量が少なくなってしまいました。反面良い点もあって、実った果実はそろって高品質。最初から摘果したようなものだから、房のひとつひとつが充実しました。
加えて、黒葡萄も良い出来だったの。ヴェレゾン(色づき)期の日照は申し分なく、気温が高過ぎず、昼夜の寒暖差があった。ベリーAなどは選果の必要がないぐらい良果でした。」
岸平「美味しいよお。特にサン・スフル白は有核(種有)が増えて味に厚みがある。そして、タケダワイナリー ブランは"今年の味"を表すような一本になった。前ヴィンテージはデラウェア100%でしたが、デラウェアとベリーAどちらも良質な葡萄が揃ったことから、2021年ヴィンテージはそれぞれの良さを生かしたブレンドで造りました。」
ベーシック白の味がこれまでとはオモムキが異なるのですか。大胆にも思えますが...
岸平「蔵王スターワインの頃からブレンドはあるんですよ。今回はベリーAの比率を今までより多くしてみました。」
はい。過去記事を確認すると2016年収穫はデラ90%ベリーA10%です。
岸平「うん。今年のタケダブランは華やかで奥行きがあります。それと貴方に朗報。サン・スフル ロゼを醸造中です。」
岸平「今度は噴出さない安心安全なロゼということで、瓶内気圧は以前より低めです。」
夢のような話です。お疲れのご様子ですが頑張っていっぱいお仕事して下さいね社長!
岸平「・・・・・・」
菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。