ワイナリー通信

山形のくいもん《春夏編》

Winery通信 2021 SUMMER Vol.76

 季節の到来を告げる味―皆さんのところにもあるでしょうか。野菜や果物が豊富な山形では、食卓に季節の歩みを感じます。

 雪が解け先ず探すのはふきのとう。天ぷらも良いですが、刻んで味噌汁に放した時の香りは早春そのもの。たくさん手に入った時はふきのとう味噌を作ります。おにぎりの具に最高。「ばっけ味噌」とも言います。行者にんにく横 加工.jpg

 山の雪が解けると、たらの芽・こしあぶら。私は油炒めやおひたしが好きです。もちろん、山菜は天ぷらにすると大変美味。でも苦みや風味を味わうにはこの方がよい気がします。毎日天ぷらは食べられませんしね。

行者にんにくは豚肉と炒め仕上げに醤油をひと回し。『サン・スフル 赤』と一緒に食せば、春の怠さに効く。こごみは胡桃和え。ウドは酢味噌。どちらも味噌汁がまた美味い。こごみ.jpg

 ところで、山形では山菜の味を説明する際にキドイと表現します。方言「キドイ」は他に言い換えられません。風味とアクが強い味のこと。苦い、エグイ、渋いをひとことで表している、とも言えるけどちぇっと違うなあ。

ギンボ.jpg

 閑話休題。ギンボは鯖なまりや身欠きニシンと煮て食べます。少しぬめりがあってシャクッと美味しい。ギンボを食べるのは山形だけらしいですね。ギボウシという植物で全国的には観賞用との事。

月山筍.jpg月山筍が出る頃は山桜も終わり新緑が美しい。アクの少ない細竹は皮ごとグリル焼きにしても美味。湯田川孟宗がそろそろ終盤という頃に出てきますが、今年は早そうです。

 半袖を着る頃はニンジンパ(人参葉)。間引いた人参です。湯がいて味噌と切り和えに。山菜同様『タケダワイナリー ブラン』がとても合います。

さくらんぼに続いてスモモも並び、こちらは色々な品種が秋口まで続きます。

 路地もの胡瓜が出回ると『だし』の季節。胡瓜・茄子・大葉・茗荷・小葱などをひたすら刻み、混ぜ合わせて醤油をかけ、白いご飯に盛って食べます。家庭によって具の種類、刻みの大きさが異なり、オクラ・がごめ昆布を入れる家もあります。冷奴や素麵の薬味に、だし納豆も夏の定番です。だし加工.jpg

『だし』を全国的に有名にしてくれた漬物がありますね。おかげで「野菜刻んだだけの貧し気な」とはもう言われません。地元では漬物でなく、切りたて野菜の涼しさを食べます。蒸し暑い盆地の夏をこれで凌ぐのです。尚、秋茄子はエグイのでだしには向きません。

 夏はアラユルトコロから胡瓜を頂戴して「前菜も汁物も主菜も副菜も胡瓜」と日々奮闘します。河童になれそうな勢いです。

ひょう(スベリヒユ)は盛夏にからし和えにして。酸っぱさとぬめりが特徴です。

暑い暑いと茄子漬、桃・西瓜に逃げ、早生デラ・早生枝豆が店頭に並べば旧盆。今年のお盆は皆そろってだだちゃ豆を食べたいなあ。

 

*山形野菜のお取り寄せ、食べ方が確認いただけます。

おいしい山形(山形県公式HP) https://www.yamagata.nmai.org

 

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著者プロフィール

菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。