ワイナリー通信

2018年のおさらい 畑のはなし

Winery通信 WINTER Vol.66

 2018年収穫ワインの出荷が始まりました。最初に発売されたのは《サン・スフル白》です。葡萄の熟度の高さを感じるとっても美味しいワインになっています。

 さて、冬号恒例、岸平典子社長に2018年の畑の話を聞いてきました。 

今年もやんばい暑かったですね。8月に伺った時には、葡萄は全般的にとても良い出来だと話されていました。

まずは白葡萄についてお話ください。棚つくりのベリーA古木 作業しにくい樹の高さ.JPG

岸平「今夏は日照りで苦戦した農家さんが多かったですね、お盆までは。水遣りをして凌いだ話も聞きましたが、連日の暑さで葡萄の糖度が上がり豊かな味わいの果実が生りました。果実は、日中の暑さで糖ができ、夜の低温で酸を保持します。今年は夜温が下がらず葡萄の酸が下がると予想。そこで初の試み、デラウェアの一部早摘みを行いました。完熟デラと分けて醸しています。」

ワインにする時にブレンドするのですね。

岸平「そう。いい感じに仕上がって喜んでいるところです。」

赤ワイン用の黒葡萄はどうですか?明日(2018年10月8日)から自社ベリーAの収穫がはじまるそうですね。

岸平「う~ん。お盆以降がねえ。黒葡萄のベレゾン期(色付き期)に雨がだばだば降り、のち台風です。雨による病気を逃れることができた樹も、強風で葉が傷み、望ましい光合成ができないものもありました。そうすると色付きなどに影響がでます。」

もったいないなあ。今年の黒葡萄はあまり良くないですか?葡萄は厳しくチェックされる.JPG

岸平「畑によりますね。きちんと管理され手を掛けた畑の葡萄は、質はそれ程落ちない。収量は減りますけどね。いつも良質の葡萄を作ってくださる農家さんは、今年も間違いのない原料を納入して下さいました。ちなみに自社畑もなかなか良い出来ですよ、ちょっと少なくなるけど。」

ベリーAの次がBQ(ブラック・クイーン)収穫ですか?

岸平「そこが例年と違ってBQは終わっています。今年はBQが熟すのがぐっと早くて、ベリーAと順が逆になりました。明日から一週間ベリーAの収穫、終わったところでカベルネに入る予定です。

温暖化の影響だろうけど、BQに限らず年々葡萄の生長が早まっていますね。栽培も醸造も、目を離さず手を掛ける事が大事ですね。」

 

取材日は10月7日。お盆以降一日も休みがないとのお話でした。ちょっとしぼんだか(失礼!)に見えるくらい、顔がほっそり痩せちゃってましたが、表情は充実して自信がうかがえました。今年の造りに手応えを感じておられるのだろう、と飲むだけのヒトはほくそ笑んで帰宅したのでした。

タケダに酒神の恵み多からんことを!

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著者プロフィール

菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。