ワイナリー通信

葡萄畑から真っすぐ届けるおいしさ

Winery 通信 2014 autumn Vol.49


タケダワイナリーではこの夏から、全商品をクール便取扱いとしました。運送会社のクール便厳格運用により発送が制限されるなか、その理由は?

サンスフルとブドウ.JPG岸平社長「当社ワインの性質上必要だと判断しました。私達は葡萄の自然な味わいを大事にしたワイン造りをしています。添加物や人工的な手の加えが極力少ない、または入れない商品ばかり。その結果大変デリケートな仕上がりで、輸送中の温度にも影響を受けやすいのです。お客様にワイナリー出荷時の味をそのまま召し上がって頂きたい。それには温度管理が欠かせません。」

確かに、タケダの売店で買う蔵出しワインは美味しいと思います。かなり昔の話ですが、土産物屋の店頭で日光浴した蔵王スターワインを買ってガッカリした事がありましたよ。

岸平「それは極端な例でしょうけど(苦笑)。

酸化防止剤が少ないので酵母が緩やかに仕事を終える。澱引きしないので、そのうま味が抽出される。ワインは生きものですから。あるインポーターが『ワインは刺身と同じように扱うと良い』と話していましたが、その通りだと思います。」

岸平社長は酸化防止剤を使用する場合でも、醸造の教科書よりずっと少ない分量だと聞きました。もし、教科書通りに、一般的な使用量を用いたら扱い易いワインになるのでしょうか?

岸平「う~ん。取扱いは楽になるでしょうが、味は変わってしまいますね。まず、口に含んだ時の広がり、変化していく余韻はあまり感じなくなるでしょう。」

ウレシクナイ話だなあ。IMG_1884.JPG

岸平「例えば"サン・スフル"は無ろ過・非加熱・無添加の生詰ワインといった商品ですが、瓶中で発酵し続けているため瓶内圧力
が高く、栓を開ける際に吹きこぼれが起きたりします。せめて、瓶詰の際に澱引きすれば、もっと開けやすいワインになるかもしれない。でも、夏を越えたサン・スフルが一段と美味いのは、澱から出る旨味のおかげなのですよ。」

サン・スフルは熱心な愛飲家のいる人気アイテムであるが、同時に《こんなに吹くと思わなかった》とお叱りの声も頂戴している。瓶首に掛けた注意書きも、思う程効果ありませんね。

岸平「サン・スフル ロゼは特に...。造るのを見合せようかと思ったりします。あの味は、どうしてもあの造りのワインにしか出せませんが、ご不快な思いをなさるお客様もおられて。」

熱烈なファンはどうなりますか。毎年楽しみに待っておられます。

IMG_1894.JPG岸平「予想外の噴出事故を減らすため、試みに販売方法を変えます。"サン・スフル ロゼ・発泡"に限り、今後はインターネットでの注文はお受けできません。電話注文か売店での対面販売のみとさせて頂きます。」

事前に説明してご理解いただくのですね。効果を期待します。もし、それでも心が折れてしまった時はウチの分だけでも造って頂きたいと思います。

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著者プロフィール

菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。